「親が亡くなったけれど、相続税の申告は必要なのだろうか?」 相続が発生したとき、多くの方が最初に悩むのが「相続税の申告が必要なのか、不要なのか」という問題です。 相続税は、すべての相続にかかるわけではありません。 一定額 …


「親が亡くなったけれど、相続税の申告は必要なのだろうか?」
相続が発生したとき、多くの方が最初に悩むのが「相続税の申告が必要なのか、不要なのか」という問題です。
相続税は、すべての相続にかかるわけではありません。
一定額までの財産には「基礎控除」があり、相続税の課税対象となる財産が基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告・納税は必要ありません。
ただし、ここで注意したいのが、「相続税がゼロだから、必ず申告不要」とは限らないことです。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などを利用することで相続税がゼロになるケースでは、特例を適用するために相続税の申告が必要になる場合があります。
この記事では、相続税の申告が必要かどうかを判断するための基本的な考え方を、できるだけ分かりやすく解説します。
まず、相続税の申告が必要かどうかを判断する基本的な流れは、次のとおりです。
①相続財産を把握する
②債務や葬式費用などを確認する
③相続税の課税対象となる財産を計算する
④基礎控除額を計算する
⑤課税対象となる財産が基礎控除額を超えるか確認する
⑥特例や税額控除を適用した場合の申告義務を確認する
相続税には、次の算式による「基礎控除」があります。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 基礎控除額
したがって、単純に「財産が3,000万円を超えたら相続税がかかる」というわけではありません。
法定相続人が多いほど、基礎控除額も大きくなります。
まずは「基礎控除額」を計算してみましょう
例えば、法定相続人が3人の場合、
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
となります。
この場合、相続税の課税対象となる財産が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
逆に、課税対象となる財産が4,800万円を超える場合には、相続税の申告が必要になる可能性があります。
ただし、実際の判断では「財産をいくら持っていたか」だけでなく、生命保険金や生前贈与なども含めて計算する必要があります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
例えば、父親が亡くなり、相続人が母親と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。
「自宅が3,000万円、預貯金が1,500万円だから合計4,500万円。申告は必要ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないのが、相続税の計算対象となる財産は預貯金や不動産だけではないということです。
生命保険金や死亡退職金、一定の生前贈与などが関係するケースもあります。
相続税について特に注意していただきたいのが、
「最終的な相続税額が0円なら、申告もしなくていい」
とは限らないということです。
例えば、代表的なのが次の2つです。
これらの制度を利用することで、計算上の相続税額を大きく減らしたり、結果として相続税を0円にしたりできる場合があります。
しかし、特例を適用するために相続税の申告書を提出する必要があるケースがあります。
例えば、亡くなった方が住んでいた自宅の土地について、「小規模宅地等の特例」を適用できるケースがあります。
小規模宅地等の特例では、一定の要件を満たす居住用宅地について、330㎡までの部分について課税価格を80%減額できる場合があります。
仮に土地の相続税評価額が5,000万円だったとしても、要件を満たして小規模宅地等の特例を適用できれば、課税価格を大幅に減額できる可能性があります。
ただし、この特例を利用するためには、相続税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、必要書類を添付する必要があります。
つまり、
「特例を使った結果、税金が0円になった」
というケースと、
「そもそも基礎控除以下なので申告する必要がない」
というケースは、同じ「税額0円」でも意味が違います。
「うちは財産が基礎控除以下だから大丈夫」と思っていても、財産の集計方法を間違えていると、実は相続税の申告が必要だったということがあります。
特に注意したいのが次の3つです。
相続税の申告で問題になりやすいのが「名義預金」です。
例えば、預金口座の名義は子どもや配偶者になっているものの、実際には亡くなった方がそのお金を管理・運用していたようなケースです。
このような場合、単純に「名義が子どもだから相続財産ではない」と判断することはできません。
誰のお金だったのか、誰が管理していたのか、贈与が成立していたのかなど、実態を確認する必要があります。
相続税の申告では、預貯金の名義だけを見て判断するのではなく、実質的な所有者を確認することが重要です。
「生命保険は相続財産ではないから関係ない」と考える方もいますが、これも注意が必要です。
亡くなった方が保険料を負担していた生命保険契約について、死亡によって取得した保険金は、相続税の課税対象となる場合があります。
一方で、一定の生命保険金については、
500万円 × 法定相続人の数
まで非課税となる制度があります。
例えば、法定相続人が3人なら、
500万円 × 3人 = 1,500万円
が非課税限度額となります。
ただし、誰が保険金を受け取ったのかなどによって取り扱いが変わるため、「生命保険金は全部非課税」と考えないようにしましょう。
「亡くなる前に子どもへ財産を贈与していたから、その分はもう相続財産ではない」と考えるのも危険です。
相続や遺贈によって財産を取得した人が、一定期間内に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与財産を相続税の課税価格に加算して計算する制度があります。
なお、生前贈与の加算期間は税制改正により段階的に変更されています。
令和8年(2026年)12月31日までに相続が開始した場合は、原則として相続開始前3年以内の贈与が対象です。
その後は段階的に加算期間が延長され、最終的には相続開始前7年以内が対象となります。
そのため、「贈与してから何年経っているか」も相続税の計算では重要なポイントになります。
相続税の申告が必要かどうか分からない場合、最も避けたいのは、
「たぶん基礎控除以下だろう」と自己判断して、そのまま何もしないこと
です。
特に、不動産を所有していた場合には注意が必要です。
土地や建物は、固定資産税評価額や購入時の金額をそのまま相続税評価額として使うわけではありません。
また、土地については形状や利用状況などによって評価額が変わることもあります。
さらに、名義預金、生前贈与、生命保険などを含めて考える必要があります。
相続税の申告期限は、原則として相続の開始があったことを知った日(被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内です。
「申告が必要だったのに、不要だと思って放置してしまった」ということになると、後から申告・納税が必要になる可能性があります。
また、相続税の申告では、単純に財産を合計するだけではなく、土地の評価や各種特例の適用要件などを確認する必要があります。
最初から完璧な相続税計算をする必要はありません。
まずは、
などを一覧にしてみましょう。
そのうえで、法定相続人が何人いるのかを確認し、基礎控除額を計算します。
「財産の合計額が基礎控除を大きく下回っている」
のであれば、相続税申告が不要となる可能性は高くなります。
一方で、
「基礎控除を超えそう」
「不動産の評価がよく分からない」
「生前贈与がある」
「名義預金があるかもしれない」
「特例を使えば税額が0円になりそう」
という場合には、税理士に相談したほうが安心です。
相続税の申告が必要かどうかを判断するとき、まず確認したいのが「基礎控除」です。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
で基礎控除額を計算し、相続税の課税対象となる財産がその金額を超えるかどうかを確認します。
ただし、相続税の判断は「預金+不動産」だけではありません。
名義預金、生命保険、生前贈与なども含めて確認する必要があります。
そして、特に重要なのが、
「相続税が0円=申告不要」ではないケースがある
ということです。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、一定の特例を利用して税額が0円になる場合には、相続税の申告が必要となることがあります。小規模宅地等の特例については、申告書への記載や必要書類の添付が必要です。
相続税の申告期限は原則10か月です。
「うちは普通の家庭だから相続税は関係ない」と最初から決めつけず、まずは相続財産と法定相続人を整理してみることをおすすめします。
特に土地や自宅などの不動産を所有している場合は、相続税評価額によって判断が変わることがあります。
「申告が必要なのか、不要なのか」その判断自体に迷っている場合は、早めに相続税に詳しい税理士へ相談することが、後から慌てないための一番確実な方法です。